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文献詳細

雑誌文献

検査と技術27巻9号

1999年08月発行

トピックス

覚醒剤(乱用薬物)の検査法

著者: 江原和人1

所属機関: 1東京都監察医務院検査科

ページ範囲:P.1126 - P.1129

文献概要

はじめに
 覚醒剤1)は中枢興奮薬の一種であり,大脳皮質に作用して精神的機能を亢進し,疲労感および睡気を除去し,作業能率の一時的な向上が認められる.しかし,乱用によって依存性を生じ,幻覚,妄想,人格変化などをきたす.急性中毒などにより死に至る.覚醒剤弊害のために,わが国では「覚醒剤取締法」によりその使用や所持が禁止されているが,現在でも不法な製造や密輸があとを絶たない.覚醒剤としては,メタンフェタミン(metamphetamine;MA),アンフェタミン(amphetamine;AP)およびその塩類が指定されているが,取締法では原料10種(エフェドリン,フェニル酢酸など)も規制の対象としている.
 日本における覚醒剤の乱用はMAがほとんどである.摂取後,その代謝物であるAPとともに尿中に排泄されるため,血液中,尿中の両物質を測定することが覚醒剤摂取を証明することになる.近年,救急医療における中毒患者や不法薬物常用者が増加している2).当院の行政解剖覚醒剤検出例からも救急医療受診歴や精神疾患既往歴のある陽性者の比率が高くなっている3).このような背景から,三次救急医療や精神医療の現場において,覚醒剤検査は他の薬物検査と同様に中毒患者における臨床診断に不可欠であり,早期の検査・治療による覚醒剤乱用防止が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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