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文献詳細

雑誌文献

検査と技術28巻1号

2000年01月発行

文献概要

技術講座 生化学

骨粗鬆症診療における骨代謝マーカーの意義

著者: 中村利孝1

所属機関: 1産業医科大学整形外科学教室

ページ範囲:P.15 - P.19

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新しい知見
 最近,骨粗鬆症診療における骨代謝マーカーの有用性が明らかになってきた.エストロゲン,ビスフォスフォネートなどの骨吸収抑制剤を使用すると骨量が増加するが,骨量測定装置で明らかな上昇を観察するには1〜2年を要する.しかし,ピリジノリンやデオキシピリジノリンなどの骨吸収マーカーは1〜3か月で低下が明らかになる.オステオカルシンなどの骨形成マーカーも3か月前後で減少し,その後は定常状態が維持される.早期に骨代謝が低下した例では,1〜2年後には確実に骨量が増加する.したがって,骨代謝マーカーは骨粗鬆症における薬物治療の効果を早期に判定できる.骨代謝マーカーの増減は活発に代謝している骨組織の表面積に依存し,代謝状態とともに骨の構造変化を反映している.
 骨粗鬆症治療の目標は骨折の予防である.骨粗鬆症診療における骨代謝マーカーは,骨の量と構造の変化を予測し,骨折リスクの増減を判定できる検査法としての有用性が認められつつある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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