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病気のはなし
ANCA関連血管炎
著者: 簑島忍1 有村義宏1
所属機関: 1西東京警察病院内科 2杏林大学医学部第1内科
ページ範囲:P.1300 - P.1304
文献購入ページに移動抗好中球細胞質抗体(ANCA)は顕微鏡的多発血管炎やウェゲナー肉芽腫症などの系統的壊死性血管炎や特発性半月体形成性腎炎の血清中に認められる.ANCAは間接蛍光抗体法により、好中球細胞質が均一に染色されるC-ANCAと,核周辺の細胞質が強く染色されるP-ANCAに大別され,さらに好中球細胞質中の対応抗原の違いにより,数種のサブタイプに分けられるようになった.臨床的に重要なのは,好中球細胞質のアズール顆粒中のmyeloperoxidase(MPO)に対する抗体であるMPO-ANCAと,proteinase 3(PR3)に対するPR3-ANCAである.これらのANCAが陽性である血管炎群をANCA関連血管炎という.
ANCA関連血管炎では,ANCAが存在することにより引き起こされる好中球を介しての毛細血管を主体とした細・小血管の壊死性血管炎という共通した病理組織所見を有し,臨床的には急速進行性腎炎症候群や肺出血などの全身の血管炎を呈する予後不良の疾患群である.ANCAはこの疾患群の病因・病態に関与していると考えられ,血清学的指標として利用されるようになった.
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