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文献詳細

雑誌文献

検査と技術28巻11号

2000年10月発行

文献概要

検査データを考える

慢性骨髄性白血病の検査値の動き

著者: 高橋直人1

所属機関: 1秋田大学医学部第3内科

ページ範囲:P.1343 - P.1346

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はじめに
 慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia;CML)は末梢血における好中球系細胞の著増(しばしば数万/μl以上),巨大脾腫,貧血で特徴づけられる疾患である.最初の数年は慢性に経過し,無治療の場合,平均3.5年で急性転化(blastic crisis;BC)する.BC後は治療に抵抗性となり,死の転帰をとる.BC時の白血病細胞形質の解析により,好中球系のみでなく,リンパ球系や赤芽球系,巨核球系の急性転化も報告されている.これはCMLが多能性幹細胞の異常に由来することを示唆しており,白血病化は多能性幹細胞の段階で起こると考えられる.骨髄染色体分析によりCMLの95%以上の症例でフィラデルフィア染色体(Philadelphia染色体;Ph染色体)を認める.Ph染色体とは,第9染色体の長腕と第22染色体の長腕が相互転座することにより生ずる派生22番染色体のことである(図1).この転座により9番染色体上のABL遺伝子と22番染色体上のBCR遺伝子が再構成され,BCR-ABL融合遺伝子が形成される.BCR-ABL融合遺伝子が作る210kDa蛋白は強いチロシンキナーゼ(tyrosine kinase)活性を有し,これがCMLの腫瘍性増殖に本質的な役割を果たしていると考えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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