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文献詳細

雑誌文献

検査と技術28巻12号

2000年11月発行

文献概要

トピックス

動脈硬化とクラミジア

著者: 尾内一信1

所属機関: 1済生会下関総合病院小児科

ページ範囲:P.1481 - P.1483

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はじめに
 現在,ヒトに感染し,病気を起こすクラミジアとしてはChlamydia trachomatis, C.psittaci,そしてC.pneumoniaeの3種類が知られている(図).今回話題となるクラミジアは,このうちのC.pneumoniaeである.C.pneumoniaeは1985年頃からヒトの呼吸器感染症の起因菌として報告され始め,その後世界中で呼吸器感染症の重要な起因菌として認められ現在に至っている.
 さて,動脈硬化症との関連については,1988年,Saikkuら1)が虚血性心疾患と本菌抗体保有との関連を報告して以来,虚血性心疾患との関連についても注目されている.動脈硬化症のリスクファクターとして喫煙,高血圧,糖尿病,高脂血症が有名である.しかし,心筋梗塞患者の約30%はこのようなリスクファクターを持ち合わせていないのである.往年の黒人プロテニスプレーヤーのアッシュ選手も,冠動脈バイパス手術の輸血時に感染したエイズで死亡したが,彼は運動もよくし,高脂血症や喫煙などリスクファクターを何ひとつ持っていなかった.したがって,C.pneumoniaeが新しいリスクファクターとなる可能性も十分考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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