icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術28巻13号

2000年12月発行

文献概要

トピックス

ムピロシン耐性ブドウ球菌

著者: 菊池賢1

所属機関: 1東京女子医科大学感染対策科

ページ範囲:P.1561 - P.1563

文献購入ページに移動
ムピロシンとは
 ムピロシン(pseudomonic acid A)はPseudomonas fluorescensの産生する,従来知られているどの抗生物質にも属さないユニークな化学構造を持った抗生物質である.その作用機序はtRNA合成酵素の1つ,イソロイシルtRNA合成酵素(isoleucyl-tRNA synthetase;IRS)の競合阻害である1).このため,他の抗生物質とは交差耐性を示さない.
 ムピロシンの発見は1887年と古く2),抗菌スペクトラムはブドウ球菌属,一部のレンサ球菌,Haemophilus influenzae,Neisseria などに限定されている1).抗菌スペクトラムで最も重要な特徴は,鼻腔に常在するCorynebacterium,Micrococcus,Propionibacteriumなどにスペクトラムが及ばないことである1).このため,鼻腔のMRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)除菌薬として使用した場合に,MRSAを含むブドウ球菌のみに作用し,他の常在菌の発育を阻害せず,効率よく除菌が行えると同時に,常在菌叢の回復ももたらされる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?