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文献詳細

雑誌文献

検査と技術28巻13号

2000年12月発行

文献概要

トピックス

アトピーとIL-4レセプター

著者: 出原賢治1

所属機関: 1佐賀医科大学医学部生化学講座

ページ範囲:P.1563 - P.1566

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はじめに
 高血圧,癌,糖尿病といった多くの病気は遺伝因子に環境因子が加わって起こると考えられている.その遺伝要因というのも親や兄弟が罹患していると必ず罹患する,あるいは罹患していないとその危険性は絶対にないというような強いものではなく,近親者に罹患している人がいると自身の罹患の危険性がそうでない人に比べて高くなるという程度の影響力であるととらえられている.つまり,多くの場合“体質”という言葉で説明されているものがこのような疾患における遺伝要因だと考えればよい.しかし,この遺伝要因を“体質”というような曖昧な言葉ではなく,遺伝子レベルで説明することができるようになれば,ある個人における罹患の危険性をある程度予知することが将来可能になるかもしれない.このことは保険加入などで新たな差別を生む危険性も孕んではいるが,危険度の高い個人は環境因子の除去に取り組んで疾患の防止に努めることができたり,その異常となっている遺伝子をターゲットにしたいわゆるゲノム医療ができるようになる可能性も持っている.
 今年の6月にヒトの全遺伝子がほぼ解読されたとマスコミで大きく発表されたが,遺伝子の情報を手に入れたわれわれの次の課題,つまりポストゲノムプロジェクトとして,個人間における遺伝子配列の違い,さらにそれらと疾患との関連性の解明ということが挙げられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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