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病気のはなし
原発性硬化性胆管炎
著者: 露口利夫1 石原武1 山口武人1 江原正明1 税所宏光1
所属機関: 1千葉大学医学部第1内科
ページ範囲:P.224 - P.228
文献購入ページに移動原発性硬化性胆管炎(PSC)はわが国では比較的まれな疾患とされていたが,近年,内視鏡的逆行性胆道造影の普及に伴い報告例が増えている.診断に有用な特異的な自己抗体はなく,生化学検査では胆汁うっ滞所見を呈する.肝の病理組織学的変化も非特異的な炎症性変化であり,肝生検のみではPSCと診断することはできない.肝生検はPSCの病期と予後の判定に役だつものと考えられている.有効な薬物療法のない現在,欧米では肝不全に移行する症例に対して肝移植が行われている.しかし,PSCはその経過中に胆管癌を10〜15%に合併する.胆管癌合併例は肝移植を行っても予後は極めて不良である.このため,胆管癌の早期診断の重要性が指摘されているが,PSCにしばしば生じる胆管狭窄増悪との鑑別は困難である.画像診断,腫瘍マーカー,胆管擦過細胞診など,多くの検査を組み合わせて診断する必要がある.
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