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臨床に役だつ遺伝子検査
著者: 上野一郎1 宮西節子2 柴田宏3 亀子光明4
所属機関: 1信州大学医学部附属病院中央検査部 2天理よろづ相談所医学研究所 3島根医科大学部附属病院検査部 4長野市民病院臨床検査科
ページ範囲:P.401 - P.407
文献購入ページに移動遺伝子は生物界において物質の合成,修飾,輸送,代謝などに関与する蛋白質を制御している根源的な物質であると同時に,ときには変異を伴いながら次世代に伝播される性質を持った物質である.全世界的規模で進められているゲノムプロジェクトは,2003年にヒト遺伝子(約30億塩基対)について全塩基配列の解読を完了し,今後,疾患と責任遺伝子との照合,遺伝子の変異や多型,機能に関する研究に焦点が移されていくと考えられる.医学はこうした進歩の恩恵をいち早く受け,感染症,遺伝病,腫瘍など広範多岐にわたる遺伝子検査が,パワフルな臨床診断の1つとして臨床検査室に登場してきた.しかし,遺伝病などの遺伝子検査は病因に直結するものであり,得られた情報は本人のみならず親,兄弟,親類にまで影響を与えるため,一方では遺伝医学に関する正しい知識の普及とプライバシー保護の確立が強く求められている.
遺伝子検査は年々技術革新を見ているが,各詳細はそれぞれの専門書に譲ることにし,本稿では,臨床診断に役だち,現在注目されている遺伝子検査とその留意点について簡単に紹介する.
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