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Laboratory Practice 病理 細胞像からここまでわかる
呼吸器(1) 正常組織・細胞と反応性変化
著者: 堀内啓1 荒井政和1 松谷章司1
所属機関: 1NTT東日本関東病院病理診断科
ページ範囲:P.492 - P.493
文献購入ページに移動呼吸器系は大別して気道と肺に分かれ,前者は鼻腔,咽頭,喉頭,気管および気管支からなる.鼻腔は多列線毛円柱上皮により覆われており,咽頭は上・中・下咽頭に分けられ,上咽頭は多列線毛円柱上皮,中・下咽頭は重層扁平上皮に覆われている.喉頭はその大部分が杯細胞を含む多列線毛円柱上皮に覆われ,一部(喉頭蓋前面,声帯ヒダ,室ヒダの一部)であるが重層扁平上皮が存在し,輪状軟骨を境に気管となる.気管はさらに,気管支,細気管支,終末細気管支,呼吸細気管支,肺胞道,肺胞・肺胞嚢となる.気管の粘膜は,杯細胞を含む線毛円柱上皮に覆われ,基底膜側に予備細胞が存在する.これらの上皮を取り囲むように軟骨や線維性結合組織が存在し,その中に気管付属腺や平滑筋がある.気管支の上皮は,基本的に気管と同様ではあるが,細気管支を境に軟骨は消失し,杯細胞は減少し,それに変わってクララ細胞が出現する.また,付属腺も徐々に消失する.気管から細気管支に至るまで,リンパ装置が結合組織中に認められ,bronchial associated lymphoid tissue(BALT)と呼ばれる.肺胞はガス交換をつかさどる扁平なI型肺胞上皮細胞と,オスミウム酸好性のサーファクタントを分泌する立方状のII型肺胞上皮細胞で覆われている.また,肺胞腔内には炭粉を含む肺胞マクロファージ(dust cell)が存在する.
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