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CETPの変異と血液透析患者の血管合併症
著者: 木村秀樹1 鈴木亨1 吉田治義1
所属機関: 1福井医科大学医学部臨床検査医学講座
ページ範囲:P.503 - P.505
文献購入ページに移動コレステリルエステル転送蛋白(cholestervl estertransfer protein;CETP)は,高比重リポ蛋白(highdensity lipoprotein;HDL)のコレステリルエステル(cholesteryl ester;CE)を超低比重リポ蛋白(verylow density lipoprotein;VLDL)や低比重リポ蛋白(low density lipoprotein;LDL)などのリポ蛋白へ転送する66kDaの血漿蛋白である(図1)1).CETP欠損症では,その遺伝子変異によりCETPの活性と蛋白抗原量が低下し,HDL内CEのVLDL,LDLへの転送量が減少するため,高HDL-C血症を呈することが特徴である.しかし,CETPのCE転送は,末梢組織に蓄積したCEを肝へ転送し排泄するコレステロール逆転送系の一端を担っていることから,同蛋白の活性低下は動脈硬化に促進的に作用するとの考えが有力になっている1).これらの遺伝子異常は,わが国で高頻度であることが特徴であり,高HDL-C血症例の10〜30%に同異常が認められる2,3).
一方,透析患者は心血管疾患の合併率が著しく高く,動脈硬化のハイリスク群である4).透析患者に特徴的な脂質代謝異常は低HDL-C血症とコレステロール逆転送系活性の低下であり,動脈硬化の危険因子の1つと考えられている5).
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