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文献詳細

雑誌文献

検査と技術28巻6号

2000年06月発行

文献概要

検査データを考える

尿蛋白

著者: 伊藤喜久1

所属機関: 1旭川医科大学臨床検査医学講座

ページ範囲:P.555 - P.558

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はじめに
 免疫グロブリンは抗体であり,その基本構造は重鎖(heavy chain)と軽鎖(light chain)が1対ずつ結合した二量体から成る(図1).重鎖はγ,α,μ,δ,εの5つのクラスに,一方軽鎖はκ,λの2つのタイプからなる.重鎖と軽鎖とのN末端110アミノ酸残基は可変部と呼ばれ,複雑な抗原構造に応じてアミノ酸配列を変えて,1対1に抗原に特異的に結合し除去,処理して生体の恒常性を維持している.言い換えれば,無数の可変部の異なる抗体がこれと対応する産生細胞(多クローン)から分泌されており,この理由から電気泳動上γ分画が幅広い不均一な荷電のピークとして観察される.
 多発性骨髄腫,原発性マクログロブリン血症(クラスはIgM),リンパ腫など,免疫グロブリン産生細胞が腫瘍性に増殖すると,可変部の構造が均一な成分が産生され,電気泳動上γ分画を中心に,シャープなピークとして観察される.単一のクローンから産生されていることから,これをモノクローナル蛋白(M蛋白)と呼んでいる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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