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文献概要
増刊号 血液検査実践マニュアル Part 5 凝固・線溶検査 5.特殊検査
9)TAT,PIC
著者: 島津千里1
所属機関: 1帝京大学医学部附属病院中央検査部
ページ範囲:P.893 - P.896
文献購入ページに移動はじめに
凝固機構の活性化によりプロトロンビンはプロトロンビナーゼ複合体(活性化第X,V因子,リン脂質)の限定分解を受け,プロトロンビンフラグメント1+2を遊離しトロンビンが生成される.トロンビンはフィブリノゲンをフィブリンに転換し,また血小板を活性化して血栓を形成するなど止血に重要な役割を果たすが,トロンビンの過剰生成は血栓症やDICを惹起する.生理的条件下でトロンビンはAT IIIやヘパリンコファクターIIにより阻害され,過剰な凝固反応が進展しないよう制御される.AT IIIはトロンビンに対する最も強力な阻害因子であり,ヘパリンの存在下で阻害速度は促進される.N未端側のヘパリン結合ドメインと血管内皮細胞にて産生されるグリコサミノグリカンとの結合により立体構造が変化し,トロンビン阻害に必要なドメインが表面に露出される.このC末端近くのトロンビンとの反応部位(Arg-393/Ser-394)がトロンビンの結合により切断され,トロンビンとAT IIIのモル比1:1の複合体であるトロンビン-AT III複合体(thrombin-antithrombin III complex;TAT)が形成される1).
線溶機構はプラスミンが血栓の主成分フィブリンを溶解する反応である.
凝固機構の活性化によりプロトロンビンはプロトロンビナーゼ複合体(活性化第X,V因子,リン脂質)の限定分解を受け,プロトロンビンフラグメント1+2を遊離しトロンビンが生成される.トロンビンはフィブリノゲンをフィブリンに転換し,また血小板を活性化して血栓を形成するなど止血に重要な役割を果たすが,トロンビンの過剰生成は血栓症やDICを惹起する.生理的条件下でトロンビンはAT IIIやヘパリンコファクターIIにより阻害され,過剰な凝固反応が進展しないよう制御される.AT IIIはトロンビンに対する最も強力な阻害因子であり,ヘパリンの存在下で阻害速度は促進される.N未端側のヘパリン結合ドメインと血管内皮細胞にて産生されるグリコサミノグリカンとの結合により立体構造が変化し,トロンビン阻害に必要なドメインが表面に露出される.このC末端近くのトロンビンとの反応部位(Arg-393/Ser-394)がトロンビンの結合により切断され,トロンビンとAT IIIのモル比1:1の複合体であるトロンビン-AT III複合体(thrombin-antithrombin III complex;TAT)が形成される1).
線溶機構はプラスミンが血栓の主成分フィブリンを溶解する反応である.
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