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文献詳細

雑誌文献

検査と技術28巻7号

2000年06月発行

増刊号 血液検査実践マニュアル

Part 5 凝固・線溶検査 5.特殊検査

11)可溶性フィブリン

著者: 岡嶋研二1

所属機関: 1熊本大学医学部臨床検査医学講座

ページ範囲:P.901 - P.903

文献概要

検査の目的と意義
 血栓症の臨床症状や出血傾向,また凝固時間の延長や血沈の遅延,さらに血小板数の減少などの播種性血管内凝固症候群(DIC)の存在を疑わせる所見が認められれば,微小血栓形成のマーカーである可溶性フィブリンモノマー複合体や可溶性フィブリン濃度を測定し,上記の病態診断のための重要な所見とする.
 血栓症の病態では,いろいろな原因で血液凝固系が活性化され,その結果,トロンビンが生成され,血栓が形成される.フィブリノゲンにトロンビンが作用すると,フィブリノゲンのAα鎖のArg16-Gly17間の結合が切断され,アミノ末端から16個のアミノ酸からなるペプチド(フィブリノペプチドA)が放出され,desAA-fibrin(フィブリンI)が形成される.さらに,トロンビンの作用により,フィブリノゲンのBβ鎖のアミノ末端のArg14-Gly15間の結合を切断し,14個のアミノ酸からなるペプチド(フィブリノペプチドB)が放出され,desAABB-fibrin(フィブリンII)が生成される.フィブリンIIでは,AαおよびBβのアミノ末端に,それぞれ新たにAおよびB重合部位が露出され,それぞれフィブリノゲンのAαおよびBβのカルボキシ末端と結合し,フィブリノゲンと可溶性複合体を形成する.形成されたフィブリンの濃度がフィブリノゲン濃度を超えると,フィブリンが重合し,不溶性フィブリンを形成する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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