文献詳細
文献概要
病気のはなし
ヘモクロマトーシス
著者: 荒川泰行1 森山光彦1 田中直英1
所属機関: 1日本大学医学部第3内科
ページ範囲:P.1000 - P.1006
文献購入ページに移動遺伝性(原発性)ヘモクロマトーシスの診断の進めかたは,遺伝子時代を反映して様変わりをしてきている.主要症状と血清鉄代謝マーカーでのスクリーニング検査からヘモクロマトーシスが疑われた場合,肝生検で肝実質細胞に鉄の過剰沈着を確認するとともに,肝生検材料で鉄を定量することが必要である.遺伝性と二次性の鑑別には,hepatic iron index(肝組織鉄量micromole/g乾燥肝÷年齢)が有用で,遺伝性ではhepatic iron indexは2.0を超えるが,二次性およびヘテロ接合体では超えない.さらに最近はHFE遺伝子解析が可能になり,欧米ではC282Yホモ接合体が80〜95%,C282Y/H63Dヘテロ接合体が5%前後,H63Dホモ接合体が1%程度の頻度で認められている.HFE蛋白の消化管での鉄吸収調節機構は不明であるがβ2-ミクログロブリンの関与が指摘されている.β2-ミクログロブリンおよびHFE蛋白のノックアウトマウスではヘモクロマトーシス類似の所見を呈することが報告されている.
掲載誌情報