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文献詳細

雑誌文献

検査と技術28巻8号

2000年07月発行

文献概要

技術講座 微生物

メタロ-β-ラクタマーゼの検出法

著者: 柴田尚宏1 荒川宜親1

所属機関: 1国立感染症研究所 細菌・血液製剤部

ページ範囲:P.1017 - P.1025

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新しい知見
 メタロ-β-ラクタマーゼ(metallo-β-lactamase)は,その活性中心に亜鉛を持つβ-ラクタマーゼで,ペニシリン系,セフェム系抗生物質を分解するだけでなく,クラブラン酸,スルバクタムなどのβ-ラクタマーゼ阻害剤,さらに各種のβ-ラクタマーゼに安定とされるカルバペネムをも分解してしまう.従来のディスク拡散法,微量希釈法では,第三世代セフェム薬,セファマイシン系薬に耐性を示す菌が,メタロ-β-ラクタマーゼを産生する株なのか,あるいはESBLや基質拡張型のAmpC型β-ラクタマーゼを産生する株なのか区別することは難しい.
 今回紹介する2-メルカプトプロピオン酸(2-MPA)はチオール化合物の一種で,メタロ-β-ラクタマーゼの活性中心に働きかけ酵素作用を阻害する.この物質をディスク拡散法に応用し,メタロ-β-ラクタマーゼの検出を試みた.この方法は特異性と検出感度が高く,しかも簡便で安価ですむため,臨床検査の現場での日常的な検査として期待できる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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