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日常染色法ガイダンス 多糖類の日常染色法—酸性粘液多糖類の染色法
アルシアン青pH2.5-PAS重染色法
著者: 羽山正義1 百瀬正信1 石井恵子2
所属機関: 1信州大学医学部附属病院中央検査部病理検査室 2長野県がん検診センター病理部
ページ範囲:P.1041 - P.1044
文献購入ページに移動アルシアン青pH2.5-PAS(AB-PAS)重染色法は,酸性基と近接水酸基の両者を同一切片上で検出する方法である.本法で検出対象となる主な組織内物質としては,上皮性粘液細胞の分泌するシアロムチンやスルポムチンなどの糖蛋白質,間質組織の構成成分として存在するコンドロイチン硫酸,ヘパラン硫酸あるいはケラタン硫酸などのプロテオグリカンである.糖蛋白質は粘液細胞の分泌するムチンをはじめ,刷子縁,2型肺胞上皮,線毛上皮などのapical plasma membraneで特に発達しているcell coatや基底膜の主要構成成分であり,プロテオグリカンは結合組織,軟骨,滑膜,椎間板,心弁膜,大動脈壁,臍帯などに特に存在する.
病理組織診断におけるこの重染色法は,これらの組織から発生する腫瘍組織がそれぞれの組織に特有な形質を受け継ぐ可能性が高いことから,上皮系の腫瘍で腺癌が疑われる場合の腫瘍細胞の含有するムチンの検出や刷子縁の有無の確認のために行われる.同時にPAS染色法によって染色される基底膜の所見から腫瘍細胞の浸潤程度の確認にも利用される.その他,組織内感染真菌のうちクリプトコックスなどの酵母様真菌の検出に用いられる.
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