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Laboratory Practice 病理 細胞像からここまでわかる
子宮頸部(2) 良性細胞・組織
著者: 都竹正文1 手島英雄2
所属機関: 1癌研究会附属病院細胞診断部 2癌研究会附属病院婦人科
ページ範囲:P.1064 - P.1065
文献購入ページに移動子宮腟部の重層扁平上皮は,成熟期婦人では20〜30層と厚く,基底膜上の基底細胞から傍基底,中間層,表層細胞へと成熟する(図1).老人性萎縮とは,卵巣機能の停止(閉経)に伴い,腟粘膜の扁平上皮は成熟機能が失われて萎縮し,数層の薄い上皮へと変化した状態をいう(図2).そのため,感染に対して抵抗力が弱く,容易に炎症を起こしやすくなる.したがって,腟粘膜の細胞成熟度指数(maturation index:MI)は100/0/0の傍基底型を示し,感染による炎症性背景を伴っている.炎症刺激を受けた傍基底型細胞は核増大,クロマチンの粗造化,核縁の不整などを示すため,N/C比が大きくなり,しばしぼ悪性細胞との判別が難しくなることがある(図3-a).したがって,このような場合はエストロゲン投与によってその回復状態を観察することも必要となる.また,剥離細胞標本では背景に炎症細胞に加え,滲出物が見られ,傍基底細胞の細胞質の好酸化,核の膨化,核濃縮,核破砕,脱核細胞などの萎縮・変性によるいろいろの細胞変化も見られ,細胞像は多彩となる(図3-b).このため,扁平上皮癌との鑑別が必要となる.
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