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絵で見る免疫学 基礎編・8
免疫グロブリンの種類と機能(4) 抗体の熟成
著者: 高木淳1 玉井一2 隈寛二2
所属機関: 1ダイナボット(株)器機診断薬事業部 2隈病院
ページ範囲:P.1148 - P.1149
文献購入ページに移動膜型IgMを持った未熟B細胞は骨髄の造血幹細胞から末梢に移行する.次いで細胞膜表面にIgMとともにIgDを発現して,成熟B細胞(mature B cell)となり,遭遇した抗原に応答できるようになる.末梢リンパ節で,この成熟B細胞(リンパ球)の膜型IgMに特異的な抗原が結合すると,再度,V領域の超可変領域(hypervariable region)に突然変異が生じ,高い親和性(affinity)を持った抗体産生細胞に成熟する.このプロセスは末梢リンパ節や脾臓で行われ,体細胞高頻度突然変異(somatic hypermutation)と呼ばれる.V領域の特定の場所,すなわちアミノ酸配列の28〜35,49〜59,92〜103番目の3か所で行われる.この領域は相補性決定部(complementarity determing region;CDR)とも呼ばれ,それぞれCDR 1, CDR 2, CDR 3という.V領域のその他の部分は各抗体間でアミノ酸配列に変化が少なく,フレームワーク領域(framework region)と呼ぶ(図1).
一次免疫後,CDR3(J領域)に局在してアミノ酸配列に若干変異が見られるが,他の超可変部V領域にはほとんど変化が見られず,分泌される抗体のほとんどがIgM抗体である.
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