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ビタミンKの抗癌作用
著者: 宮川隆之1 白幡聡1
所属機関: 1産業医科大学小児科
ページ範囲:P.1188 - P.1190
文献購入ページに移動ビタミンKは,ビタミンK依存性蛋白合成の最終段階で,それらの蛋白前駆体が有する特定のグルタミン酸残基のγ位をカルボキシル化して,γ-カルボキシグルタミン酸に変換する酵素(γ-グルタミルカルボキシラーゼ)の補酵素で,1929年,Henrik Damにより発見されて以来,長い間止血に必要な微量栄養素と考えられてきた.しかし,1980年代に入って,人工的に合成されたビタミンK同族体であるビタミンK3に細胞増殖阻害作用や細胞死(アポトーシス)の誘導作用があることが報告され,一時期他の治療法と組み合わせて臨床応用も試みられたが,本格的な治験には至らなかった.一方,最近になりビタミンK2にも細胞増殖阻害作用や分化誘導作用があることが明らかにされ,抗癌剤としてのビタミンKが改めて注目されている.
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