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絵で見る免疫学 基礎編・13 細胞の生と死・4
死のプログラム(その2)—アポトーシス機能の異常
著者: 高木淳1 玉井一2 隈寛二2
所属機関: 1ダイナボット(株)器機診断薬事業部 2隈病院
ページ範囲:P.42 - P.43
文献購入ページに移動細胞にはあらかじめ死のプログラム,すなわちアポトーシスの機構が設定されており,多くの細胞は,このプログラムが実行されて死に至る.このアポトーシスの過程は,細胞の種類,生物の種類,誘発の要因によらず同じ過程をたどる.その過程とは,アポトーシス誘導である死のシグナルの受容,細胞内へのシグナル伝達,すなわちDNase(DNA分解酵素)を活性化する一連のカスパーゼの活性化であり,そして最後に核の断裂化である.アポトーシス誘導のシグナル受容は,細胞表面上に発現されているFas(CD 95とも呼ばれる)によって細胞内に伝達される.Fasに死のシグナルを伝達するのは,死を宣告するFasリガンド(FasL)である.
例として,CTLについて述べる(図1).まず,CTL表面上のTCRが,感染細胞表面のMHC I抗原を認識する.CTLは,細胞が外来抗原により感染されていることを認識すると,TCRからFasLに死のシグナルの伝達を指令する.FasLは,感染細胞表面に発現されているFasから死のシグナルを伝達する.また,もう1つのパスウェイがあり,CTLが感染細胞のMHC I抗原を認識すると,CTLは感染細胞にパーフォリンをふりかけて感染細胞に孔をあけ,そこからグランザイムを注ぎ込んでアポトーシスを誘導する.
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