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文献詳細

雑誌文献

検査と技術29巻10号

2001年09月発行

文献概要

トピックス

健常人CA19-9異常高値

著者: 金子祐一郎1

所属機関: 1神戸市立中央市民病院臨床検査技術部

ページ範囲:P.1217 - P.1219

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はじめに
 I型糖鎖抗原に属する腫瘍マーカーであるCA19-9測定の臨床的有用性は,各種消化器系疾患で確立しており,盛んに臨床的応用されている.悪性疾患では特に,膵癌や胆嚢・胆管癌での診断や治療効果の判定などに有用であると臨床的評価を得ている.また,大腸癌や胃癌でもCA19-9の陽性高値の率が高く,これらの癌の治療モニターに利用されている.さらに,卵巣癌,子宮内膜癌や肺癌でもCA19-9の陽性高値を示すことがある.
 良性疾患でのCA19-9高値は,肝疾患1),胆道系疾患2),糖尿病3,4)や肺疾患5)など,実にいろいろな疾患で報告されている.肝疾患,糖尿病や肺疾患では,CA19-9測定値は比較的軽度な上昇である.しかし,良性疾患でも胆管炎を併発した胆石症で1,000U/mlを超えたCA19-9の異常高値を示した症例が報告されている2).われわれの施設での症例でも,胆石症,胆嚢炎や膵炎の患者で血清CA19-9が1,000U/ml以上の異常高値を示す症例がある.血液学的,生化学的検査および画像診断による諸検査で特に異常が認められず,CA19-9測定値のみが異常高値を示す症例を,少数例だがまれに経験している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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