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文献詳細

雑誌文献

検査と技術29巻11号

2001年10月発行

文献概要

トピックス

被曝放射線線量の意味

著者: 大原潔1

所属機関: 1筑波大学臨床医学系放射線医学

ページ範囲:P.1312 - P.1314

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はじめに
 放射線はその発見以来,人類に多大な便益を与えてきた反面,リスクも抱えてきた.1999年の東海村臨界事故では,作業員3人が中性子線被曝による急性放射線症を蒙り,うち2人は死亡された.事故急性放射線症の発症は1945年以後,この3人を含め世界中で400人弱,うち死亡者は62人と報告されている.過半数はチェルノブイリ原子炉事故被曝者で,死亡者数でみたリスクは世界中で年平均1人強となる.一方1998年には日本で,57分に1人が道路交通事故で死亡している.
 放射線に関する事故は交通事故とは異なり,インシデントでさえ大々的に報道される.国民は原爆被災の恐怖を想起し,不安を新たにする.放射線に恐怖や不安を漠然と抱く人は医療人にも多いであろう.“漠然”の要因は,放射線およびそのリスクが正しく理解されにくいためと考えられる.本稿が理解の一助になれば幸いである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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