icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術29巻3号

2001年03月発行

文献概要

検査じょうほう室 病理:病理標本に見られる不思議な現象

X染色体のはなし

著者: 高山英次1

所属機関: 1防衛医科大学校寄生虫学教室

ページ範囲:P.282 - P.284

文献購入ページに移動
はじめに
 「なぜ,雌雄(男女)両性が必要か?」という質問に,「子孫を残すため」であるとか「遺伝子の多様性を生み出すため」とかいった,いかにも頭のよい小学生のような答えを聞くことが多いように思う.子孫を残すためであるならば無性生殖(単個体だけからの分裂による繁殖)で,遺伝子の多様性獲得のためであるならば同型配偶子の接合で,あるいは雌雄同体でもこれらの目的は全うされる.むしろ子孫を残すためや遺伝子の多様性を生み出すためならば,無性生殖や雌雄同体のほうが合理的であるかもしれない.なるほど植物では雌雄別個体であるコケ類や裸子植物からより進化した被子植物が雌雄同体である.ところが動物では,脊椎動物でも無脊椎動物でも,それぞれで最も進化的に高等であるとされる哺乳類や昆虫類は雌雄別個体である.カタツムリも雌雄同体とはいえ,2個体での有性生殖(配偶子の接合による繁殖)の際には一方の個体が雌性,もう一方の個体が雄性として振る舞う.魚類では成体になってから性転換する例もあれば,爬虫類では受精後の胚発生過程の環境によって個体の性決定がなされる例も知られる.そして,哺乳類や昆虫類では受精と同時に雌雄どちらか一方の性が決定され,発生過程でこの決定が変更されることはない.動物では進化的高等化に伴って,性がより発生の早い段階で決定する仕組みになっているようである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら