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シトルリン血症とその遺伝子診断
著者: 小林圭子1 安田智嗣1 山口直喜1 佐伯武頼
所属機関: 1鹿児島大学医学部生化学第1講座
ページ範囲:P.302 - P.304
文献購入ページに移動尿素サイクルの律速酵素であるアルギニノコハク酸合成酵素(argininosuccinate synthetase;ASS)の異常は,シトルリン血症(citrullinemia)を引き起こす.Kobayashiらが1999年に論文発表した新規遺伝子SLC 25 Al3の発見1)は,筆者らのこれまでの提唱2)「シトルリン血症は異なる病因に基づき2病型に分類される」を確定的なものにした.その結果,シトルリン血症は,①ASS遺伝子自体の異常に起因する古典型シトルリン血症(CTLN1)と,②SLC 25 A13遺伝子の異常に基づき,肝臓特異的にASS蛋白質が低下する成人発症II型シトルリン血症(CTLN2)とに明確に定義づけられ(表),いずれも遺伝子診断が可能となった.特にSLC 25 A13変異の遺伝子診断は,これまで酵素学的診断しかできなかったCTLN2において飛躍的な進展をもたらしている.
本稿では,2病型のシトルリン血症を区別し,それぞれの遺伝子診断の現状と最近の知見を紹介する.
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