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可溶性トランスフェリン受容体
著者: 高後裕1 鳥本悦宏1
所属機関: 1旭川医科大学内科学第3講座
ページ範囲:P.391 - P.393
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血清鉄は,血清蛋白質であるトランスフェリンに結合しているが,それを細胞内へ取り込むためには,その受容体が必須である.トランスフェリン受容体の発現は,主に細胞内鉄量により翻訳レベルで調節を受けている.細胞表面のトランスフェリン受容体は,エンドサイトーシス機構により細胞内へ取り込まれ,その後エンドソーム内で鉄イオンが遊離,細胞質内へ取り込まれる.この過程で,一部のトランスフェリン受容体は可溶性トランスフェリン受容体となって血中へ遊離する.筆者らは,この現象を世界に先駆けて見いだし,その測定が非侵襲的な,骨髄造血能を表す新しい臨床検査医学的指標になることを明らかにしてきた1).
本稿では,トランスフェリン受容体の生化学,発現の分子機構を解説するとともに,可溶性トランスフェリン受容体測定の臨床的意義に触れる.
血清鉄は,血清蛋白質であるトランスフェリンに結合しているが,それを細胞内へ取り込むためには,その受容体が必須である.トランスフェリン受容体の発現は,主に細胞内鉄量により翻訳レベルで調節を受けている.細胞表面のトランスフェリン受容体は,エンドサイトーシス機構により細胞内へ取り込まれ,その後エンドソーム内で鉄イオンが遊離,細胞質内へ取り込まれる.この過程で,一部のトランスフェリン受容体は可溶性トランスフェリン受容体となって血中へ遊離する.筆者らは,この現象を世界に先駆けて見いだし,その測定が非侵襲的な,骨髄造血能を表す新しい臨床検査医学的指標になることを明らかにしてきた1).
本稿では,トランスフェリン受容体の生化学,発現の分子機構を解説するとともに,可溶性トランスフェリン受容体測定の臨床的意義に触れる.
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