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Laboratory Practice 生化学 精査と治療に生かす検査データ
糖尿病
著者: 川上康1
所属機関: 1筑波大学臨床医学系臨床病理
ページ範囲:P.438 - P.439
文献購入ページに移動糖尿病では明確な自覚症状がなくとも,動脈硬化症による心筋梗塞や脳梗塞,網膜症,腎症などの細小血管合併症を呈することが多い.したがって,発症早期に診断し,合併症が生じる以前の段階で,血糖コントロールを基本とした生活習慣の指導を行う必要がある.高血糖が持続することで網膜症・腎症などの細小血管合併症は生じるため,血糖値を正常に近づけることが重要である.しかし,耐糖能異常を呈する,いわば糖尿病のグレーゾーンの患者群において,動脈硬化が健常者と比較して発症しやすいことが判明している.この原因として食後高血糖の関与の他に,インスリン抵抗性の関与が示唆されている.したがって,糖尿病においては,早期の診断とともに,血糖正常化およびインスリン抵抗性解除を考えた治療法が必要である.また,診断においては常に膵疾患やCushing症候群などによる二次性糖尿病の可能性を念頭に置いておく必要がある.
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