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血漿・血清からの直接PCR法によるHBVの検出
著者: 白崎良成1 外池宏司1 西村直行1
所属機関: 1(株)島津製作所分析機器事業部ライフサイエンス研究所
ページ範囲:P.494 - P.496
文献購入ページに移動B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus;HBV)は,肝硬変や肝細胞癌へ進行する頻度が高い急性肝炎または慢性肝炎の病因ウイルスとして,臨床検査の重要な対象となっている.HBV感染の検査は従来よりEIA法やRIA法などの抗原抗体反応を用いた手法にて行われているが,それらの手法は,感度やウインドー・ピリオド(感染後抗体ができるまでの期間)などの問題により,必ずしも十分な検査法とはいえない.こうした背景から,最近はHBVの検査法として,polymerase chain reaction(PCR)法を採用した高感度かつ特異的な遺伝子検査法が盛んに使用されるようになった.その事例として,日本赤十字社は1999年10月より,全献血液を対象としたHBV他のウイルスのスクリーニングに,PCR法を利用したキット(ロシュ社製)を用いるようになった.それらウイルスの遺伝子検査の対象検体としては血漿または血清が最も一般的であり,これらのPCR法による検査は世界標準の手法となりつつある.
しかし,血漿・血清中にはPCRを阻害する種々の物質が存在するため,一般的にはPCR前に多段階の核酸精製過程が必要となる.
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