文献詳細
文献概要
増刊号 病理組織・細胞診のための日常染色法ガイダンス 4.多糖類の日常染色法
高鉄ジアミン・アルシアン青pH2.5重染色法
著者: 羽山正義 百瀬正信 小野謙三
所属機関:
ページ範囲:P.708 - P.712
文献購入ページに移動目的
高鉄ジアミン・アルシアン青pH 2.5重染色法(high iron diamine-Alcian blue pH 2.5 stain;HID/AB pH 2.5 stain)は,同一切片上で酸性ムコ物質のカルボキシル基と硫酸基を同時に検出することを目的とする方法である.すなわち,主として上皮性粘液細胞の分泌する粘液に存在するシアロムチンとスルフォムチンの鑑別や,間質組織の構成成分であるプロテオグリカンを,硫酸基を有するコンドロイチン硫酸,ヘパラン硫酸およびケラタン硫酸などと,硫酸基を有しないヒアルロン酸とに識別するのに用いられる.
ところで生体内の酸性ムコ物質は,粘液細胞の分泌するムチン,刷子縁,II型肺胞上皮,線毛上皮,乳腺導管上皮,頸管円柱上皮などの膜に特に多く見られ,surface coatやfuzzy coatなどと呼ばれる糖蛋白質と,結合組織,軟骨,滑膜,椎間板,心弁膜,大動脈,臍帯などに存在するプロテオグリカンに分類される.これらの多くはカルボキシル基または硫酸基,あるいは両者を含有するため,アルシアンブルーなどの塩基性色素により検出することができる.
高鉄ジアミン・アルシアン青pH 2.5重染色法(high iron diamine-Alcian blue pH 2.5 stain;HID/AB pH 2.5 stain)は,同一切片上で酸性ムコ物質のカルボキシル基と硫酸基を同時に検出することを目的とする方法である.すなわち,主として上皮性粘液細胞の分泌する粘液に存在するシアロムチンとスルフォムチンの鑑別や,間質組織の構成成分であるプロテオグリカンを,硫酸基を有するコンドロイチン硫酸,ヘパラン硫酸およびケラタン硫酸などと,硫酸基を有しないヒアルロン酸とに識別するのに用いられる.
ところで生体内の酸性ムコ物質は,粘液細胞の分泌するムチン,刷子縁,II型肺胞上皮,線毛上皮,乳腺導管上皮,頸管円柱上皮などの膜に特に多く見られ,surface coatやfuzzy coatなどと呼ばれる糖蛋白質と,結合組織,軟骨,滑膜,椎間板,心弁膜,大動脈,臍帯などに存在するプロテオグリカンに分類される.これらの多くはカルボキシル基または硫酸基,あるいは両者を含有するため,アルシアンブルーなどの塩基性色素により検出することができる.
掲載誌情報