icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術29巻7号

2001年06月発行

文献概要

豆知識

ホルマリンピグメント

著者:

所属機関:

ページ範囲:P.748 - P.748

文献購入ページに移動
 長期にわたり,ホルマリンに保存した組織には,しばしば褐色調の結晶状粒子の沈着をみることがある.組織内に溶解しているヘモグロビンにホルマリンが作用し,メトヘモグロビンとして,組織構造にかかわらず,沈着したものである.通常,ホルマリン液のpHが6.0以上ならば生じてはこないが,pH3.0〜5.0に至ると,その沈着が目立ち,組織標本観察時にはやっかいな産物となる.沈着の起こる時期は,各臓器によりまちまちで一概には言えないが,脾臓などは沈着が早い臓器で,1か月で出現するといわれる.この色素の除去法としては,カルダセウィッチ(Kardasewitsch)法とベロケイ(Verocay)法の2つが代表的である.
 処理を行っても組織内の他のほとんどの物質や色素に影響がない(マラリア色素だけは例外).処理後,よく流水水洗を行わないと,その後に染色したヘマトキシリン,エオジンの色調が変化して,よい結果が得られなくなってしまうことがあるので注意を要する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?