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文献詳細

雑誌文献

検査と技術29巻9号

2001年08月発行

文献概要

トピックス

リンパ球性心筋炎とCRP

著者: 神田享勉1

所属機関: 1金沢医科大学総合診療部

ページ範囲:P.1118 - P.1119

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■急性心筋炎とリンパ球性心筋炎
 心疾患の既往歴がないにもかかわらず胸部苦悶感,動悸,呼吸困難などの心症状をきたし,左室収縮能低下,心電図異常などの他覚症状を認めた場合,急性心筋炎を疑う必要がある.心筋炎の診断は臨床上しばしば困難である.それは心筋炎に特異的な検査上の特徴がないことによる.Hurstら1)は急性期の心筋炎の診断には心筋生検が最も有用であるとしているが,心筋生検陰性でも否定はできない.通常,発症に先行し感冒様症状があり,心電図異常,心筋の逸脱酵素の高値,CRP陽性となる.ウイルスが原因の心筋炎では,発症直後と2週間後とのペア血清でウイルスの抗体価が4倍以上に上昇することが,ウイルス感染の診断には必要である.心筋生検は特徴的な炎症細胞浸潤と心筋崩壊を認め,in situ hybridization によるウイルスゲノムの同定で陽性となれば確定診断できる.しかし確定診断できる確率は5%以下である.加えて,心筋炎は急性期は重症でも生命予後は比較的よく完全治癒例も少なくない.心機能の回復がみられなければ拡張型心筋症に移行する可能性もある.ウイルス性心筋炎は文献的にはよく知られているが,その確定診断が困難であることより,実際に診断できることは少ない.そこで組織学的にリンパ球の浸潤と心筋崩壊とが認められれば,リンパ球性心筋炎と診断する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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