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文献詳細

雑誌文献

検査と技術3巻11号

1975年11月発行

文献概要

病気のはなし

骨髄腫

著者: 戸川敦1 今村幸雄1

所属機関: 1東大第3内科

ページ範囲:P.6 - P.11

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骨髄腫の概要
 骨髄腫は形質細胞の腫瘍性増殖を来す疾患と定義されている.腫瘍化した形質細胞——骨髄腫細胞——が骨髄内で増殖して骨を破壊し貧血や骨折,疼痛を起こす.本症は10数年前までめずらしい病気とされてきたが,電気泳動法や免疫電気泳動法が広く行われるようになって,骨髄腫細胞の産生する異常免疫グロブリンを容易に検出できるようになってからは一般の関心も高まり症例数も増えている.そうはいっても本症では,白血病やその他の血液疾患に見られる強い貧血や出血傾向のような特有な症状を多くは欠いているので,骨髄穿刺や電気泳動を行うまでに至らず,見落とされる症例が現在でも多い.
 骨髄腫の発病は潜行性で徐々に症状が現れる.初発症状(表1)として最も多いのは疼痛(腰,胸,背痛など)でその他全身倦怠,貧血症状など不定の症状が現れる.タンパク尿に気づかれていても長い間腎疾患として治療を受けている場合もある.なかには全く自覚症状がなく,布団の上げ下ろしあるいは重い荷物を持ち上げるなどのささいなことで骨折したり,健康診断で血沈亢進,タンパク尿を見いだされ本症診断のきっかけとなったりすることがある.そのほか体外腫瘤,対麻痺(下肢の両側麻痺)などで本症が発見されることがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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