文献詳細
文献概要
病人と病気と病院
人間ドック
著者: 橘敏也1
所属機関: 1聖路加国際病院内科
ページ範囲:P.12 - P.16
文献購入ページに移動 長い航海を終えて帰港した船舶が,次の航海に備えて修理,点検のためにドック(船渠)入りするように,長い人生航路を経て来た人たちが,ある年齢に達したならば,病気の自覚の有無にかかわらず,健康についての点検のために予防的総合検診を受ける——船のドックになぞらえて,これを人間ドックと呼んだ——この人間ドックの試みが我が国で始められたのは,昭和29年(1954)のことであった.
当時,日本の国状としては,戦後復興のようやくめどのついた,いわば一息ついたころで,経済的にもやっと余裕が出てきた時であったし,個人的にも,戦中戦後をただひたむきに働き続けてきてほっと一息という時,寄る年波と酷使してきた身体に一抹の不安を覚える人の少なくなかった世相にこの主旨はよくアピールして,その呼びかけは広い各層の人たちから支持を受け,非常な勢いで普及していった.
当時,日本の国状としては,戦後復興のようやくめどのついた,いわば一息ついたころで,経済的にもやっと余裕が出てきた時であったし,個人的にも,戦中戦後をただひたむきに働き続けてきてほっと一息という時,寄る年波と酷使してきた身体に一抹の不安を覚える人の少なくなかった世相にこの主旨はよくアピールして,その呼びかけは広い各層の人たちから支持を受け,非常な勢いで普及していった.
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