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文献詳細

雑誌文献

検査と技術3巻11号

1975年11月発行

文献概要

基礎から応用へ

熱輻射

著者: 戸川達男1

所属機関: 1東京医科歯科大・医用器材研究所

ページ範囲:P.17 - P.20

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 熱が物質を伝わって流れることについて前回説明したが,熱は物質がなくても輻射によって空間を伝わることがある.もっとも,空間を伝わっていくのは赤外線という電磁波だから,電磁波そのものが熱だというのは厳密には正しくないが,とにかく輻射があると,むこうにあった熱がこちらに移るのだから,途中で変身したとしても,熱が空間を伝わったと考えることができる.
 熱輻射は,熱いものに手をかざせばわかるように,はだで感じることができる.熱いものに直接手を触れればもっと熱いのだから,伝導に比べて輻射はたいしたことはないと思うかもしれないが,体や物体への熱の出入りを調べてみると,伝導や対流に比べて輻射による熱の移動のほうが大きいことがよくある.また,輻射が空間を伝わる性質をうまく利用すると,物体の温度を測ることができる.しかも,熱が空間を伝わって来てくれるので,温度計を物体に触れなくてもよく,遠くはなれた所から温度を測ることができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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