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基礎から応用へ
寄生適応・3
著者: 大家裕1
所属機関: 1順大・寄生虫
ページ範囲:P.21 - P.24
文献購入ページに移動 宿主体内での寄生生活という生活様式は,寄生虫に寄生適応という宿主との特殊な存在関係を生じたが,その実体は果たしてどういうものであろうかということを,免疫生物学的な研究によって明らかにされつつある問題につき,前2回にわたって述べてきた.しかしこの寄生適応ということは,免疫生物的なレベルの問題だけに限られているわけではない.この講座の第1回目に,生命現象というものは,細胞内の分子構造の関与するレベルから,生物群集というレベルまで,いろいろなレベルでとらえられるものであることを述べたが,この寄生適応ということに関してもさまざまなレベルでこれを考察することができるのである.
物質を外界から取り入れ,自己の体を構築維持する素材とするとともに,取り入れた物質を変化させつつ,引き出したエネルギーを個体維持に利用することは,あまねく生体に共通した基本的な性質ということができる.そして,これらのことは,生体を構成する一つ一つの細胞内の物質代謝の機構に基礎をおいていることは,だれしもがよく知っているところである.今回は,この物質代謝のレベルでの寄生適応という点について,一二の例を取り上げて述べてみよう.
物質を外界から取り入れ,自己の体を構築維持する素材とするとともに,取り入れた物質を変化させつつ,引き出したエネルギーを個体維持に利用することは,あまねく生体に共通した基本的な性質ということができる.そして,これらのことは,生体を構成する一つ一つの細胞内の物質代謝の機構に基礎をおいていることは,だれしもがよく知っているところである.今回は,この物質代謝のレベルでの寄生適応という点について,一二の例を取り上げて述べてみよう.
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