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文献詳細

雑誌文献

検査と技術3巻11号

1975年11月発行

文献概要

基礎から応用へ

基質濃度と活性度

著者: 降矢熒1 降矢震2

所属機関: 1東京女子医大生化学 2千葉大検査部

ページ範囲:P.25 - P.28

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 同じ酵素量でも,基質濃度を高くすると高い活性度が得られるのが普通である.低濃度では活性度は濃度に比例して高まる.しかししだいに濃度を高めてゆくと,その割合には活性度は延びなくなり,ついには頭うちになってしまう.試料中の酵素活性度を測るにはこの極大値を求めるのが望ましい.十分に高い基質濃度で測れというのはこのためである.さりとて必要以上に高濃度で測る必要もない.時としてかえって活性度の低下を来すこともある(基質過剰による阻害).しかし実際には基質の溶解度に制限があり,極大値を得るほど高められぬことのほうが多い.このような時にも極大値を算出することができる.
 極大値に近い値が得られる基質濃度は,酵素の種類と用いる基質によってはなはだしく異なることも多い.酵素基質の親和力の相違による.また同じ測定法で測っても,この親和力に変化を与える物質が共存すれば違ってくる.近ごろ検査室でも使われるようになったMichaelis定数(Km;酵素基質解離定数)とはこの親和定数の逆数である.本稿ではこのKmと,極大速度(V)についての簡単な説明と,その測定法について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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