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最近の検査技術
腸内細菌の分類と同定
著者: 坂崎利一1
所属機関: 1国立予防衛生研究所細菌第1部
ページ範囲:P.33 - P.38
文献購入ページに移動 分類学は本来思考の学問である,ことに微生物の分類は,過去にさかのぼって系統発生を追究することがほとんど不可能なために,おのずから"似たものを集めて一つの単位とする"便宜的な手段にならざるを得ない.近年,コンピューターを利用して,各微生物間の相似性を数値によって判断するいわゆる数値分類法が発展したが,これは系統発生をまったく考慮せずに,似たものを客観的に集めて分類群とする最も割り切った分類方法である.また,一方では細菌遺伝学の手法や知見を分類学の中に取り入れ,各微生物間の相互関係を遺伝学的に追究する方法も取り入れられつつある.しかし,現段階ではそれらの一つ一つは分類学を研究するための手段にすぎず,分類学者はそれぞれのイデオロギーに基づいて,自分の信じる(あるいは得意な)手法により微生物を分類している.このような状況下で,それらのどれを支持するかは第三者の自由であるが,その支持は必然的にその領域の権威者のそれに傾くことはやむを得ない.
10年前にはきわめて整然と分類されているようにみえた腸内細菌科(family Enterobacteriaceae)も,前述のような新しい分類の手法のもとに再検討されるに及んで,いろいろな不合理な点が明らかになってきた.
10年前にはきわめて整然と分類されているようにみえた腸内細菌科(family Enterobacteriaceae)も,前述のような新しい分類の手法のもとに再検討されるに及んで,いろいろな不合理な点が明らかになってきた.
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