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文献詳細

雑誌文献

検査と技術3巻11号

1975年11月発行

文献概要

ひとこと

病院における検査技師の役割

著者: 斎藤正行1

所属機関: 1北里大臨床病理

ページ範囲:P.40 - P.41

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技術は単なる手段
 病院における検査技師の職務は何かということについて多くの考えがあろう.最も平凡な答えは病院内で検査を行う人ということである.ところが,今日のごとく検査の多くが自動化されてくると,"私たちは何をすればよいのでしょうか"という発言も出てくる.もちろん検査にはいろんなものがあり,自動化できないものもたくさんあるから,検査技師の存在がゼロになることはなかろうが,働く職場がだんだんと縮小されることは確かであろう.ただこの場合"検査技術"というものをよくよく考え直してみると,もともと人間がやるには不向きの面も多々出てくる.
 というのは1回の検査でハッキリ異常所見を示す時は,正直言って臨床症状もハッキリしていて,検査は念のためにという場合である.ほとんどの検査はある間隔をおいて反復比較し,それがどう変化しているかで役立つ.この際,今日の検査が前回と全く同じ条件で行われたかと人間に聞くほうがヤボで,高級な人間がどうして数日前や1か月前の状態を再現できよう.従って人間がやる限り前の値との比較は相当の変化がなければ安心して有意の差があるとは言えず,当然検出感度はおちてくる.その点機械による時は,条件の設定さえ同一にすれば感情が入らないので再現性は良く,検出感度は非常に上昇してくる.このことは自動化の普及とともに診断精度が向上していることで如実に証明されてきている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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