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文献詳細

雑誌文献

検査と技術3巻12号

1975年12月発行

文献概要

トピックス

T cellとB cell

著者: 熊谷俊一1 恒松徳五郎1

所属機関: 1京大第2内科

ページ範囲:P.71 - P.72

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 リンパ球が免疫反応の主役をなす細胞であることはよく知られているが,近年,これらのリンパ球には,機能的,形態的に様相を異にする2種の細胞群,すなわちT cellとB cellが存在することが明らかになってきた.ともに由来は骨髄の幹細胞であるが,T cellは幹細胞が胸腺に入り胸腺上皮細胞の影響下で分化成熟し,末梢リンパ性臓器に分布するため,胸腺由来細胞(thymus-derived cell:T cell)と呼ばれる.一方B cellは骨髄の幹細胞が,鳥類ではファブリチウス嚢(Bursa Fabricius)の影響で分化成熟し末梢リンパ性臓器に分布する.ヒトではBursa相応器官として腸のバイエル板などを考える人もあるが,一応骨髄から直接分布すると考え骨髄由来細胞(bone-marrow-derived cell:B cell)と呼ばれる.
 T cellとB cellはともに抗原刺激を受け,分化分裂し種々の免疫反応を起こす.B cellは免疫グロブリン産生リンパ球や形質細胞となって体液性免疫(例えば抗原抗体反応)に関与し,T cellは種々の活性物質(lymphocyte mediator,lymphokine)を放出し,細胞性免疫(例えば移植または腫瘍免疫)に関与するとされる.しかし最近では,TcellがBce11に補助的作用や抑制作用を及ぼしたり,T cellが免疫学的記憶細胞として働くなどの事実も発見されている.T cellとB cellの検出法には表のごとく種々あるが,その代表的なものについて述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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