巻頭言
若い検査技師に望むことなど
著者:
藤田啓介1234
所属機関:
1藤田学園
2名古屋保健衛生大学
3名古屋衛生技術短期大学
4名古屋医学技術専門学院
ページ範囲:P.5 - P.8
文献購入ページに移動
最近,再び若い研究者や学生とともに実験室の中で過ごす時が,24時間の大半を占めるようになってきました.かねてから深い関心を寄せていたテーマに取り組んで,その実験に着手し,ついつい研究の迷路に深入りしかけた当初は,わたくしも,独断や偏見が,おのずから脳ミソに入り込むはずの年ですから,アナクロニズムの不安は当然あったのですが,それだけでなく,今までの生活様式を切り捨てて,新しい仕事に立ち向かう時のいつもの心理的な抵抗も,多分にあったことは確かです.しかし研究の場と時間が多少とも与えられ,研究施設をゼロから整備する過程で,自分がかつて使いなれた分析機器や,この10数年の研究の空白の時期に新しく開発された分子ふるい,TLC,高速液クロ,FID,ガスクロマス,クリーンベンチなどの目新しいものを,たまたま使ってみて,今日の研究手段が言葉では表現しえないほど画期的な進歩と変革を遂げていることを実感として知ったことは,新鮮な驚異でありました.