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文献詳細

雑誌文献

検査と技術3巻6号

1975年06月発行

文献概要

技術講座 血清

寒冷凝集反応

著者: 上尾八郎1

所属機関: 1京大病院中検

ページ範囲:P.66 - P.69

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1.原理
 寒冷凝集反応(cold hemagglutination)とは,原発性異型肺炎(primary atypical pneumonia)または非定型肺炎と呼ばれる患者の血清について,他の型の肺炎との鑑別をするためにクローズアップされた血清学的診断法である.この反応の主役は,患者血清中に出現する寒冷凝集素(cold hemagglutinin)である.寒冷凝集素は,ヒト血清と赤血球を混合し,寒冷に放置すると赤血球と作用し凝集が起こる.これを20〜30℃に温めると凝集は消失し,10〜20℃以下に冷やすと凝集が再現し,可逆性が認められる.免疫電気泳動法で調べると,γグロブリン領域に属すIgMクラスのマクログロブリンで,IgGクラスの抗体に比べると耐熱性は弱い.
 寒冷凝集素は,正常人血清中にも多少存在するが,1947年Petersonらは,上記原発性異型肺炎の患者血清中に0〜5℃の寒冷において強く作用する寒冷凝集素の存在することを発見した.その後,諸学者の追試によって,寒冷凝集素の証明,すなわち寒冷凝集反応が,本症の検査室診断手技として重要視されるに至り,多くの検査術式の考案とともに,血清反応の陽性成績をもって原発性異型肺炎の有力な補助診断法とされてきた.実際成人の原発性異型肺炎では,その50〜90%に寒冷凝集素の上昇が認められると報告されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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