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文献詳細

雑誌文献

検査と技術3巻6号

1975年06月発行

文献概要

技術講座 細菌

ウイルス血清検査

著者: 富山哲雄1

所属機関: 1東大分院中検

ページ範囲:P.70 - P.72

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 現在ウイルス感染症の実験室内診断はほとんど血清反応によって行われている.ウイルス血清反応には,中和反応(NT),補体結合反応(CF),血球凝集抑制反応(HI),受身血球凝集反応(PHA),免疫粘着反応(IA),螢光抗体法(FA)などをはじめいくつかの方法があるが,このうち病院の検査室で実用になっているのはCFとHIに限られている.表1に主なウイルスの血清反応を掲げる.
 HIは1種類のウイルスに限れば実験操作そのものはCFより簡単で,感度もよく早期診断に適している.しかし,HIは赤血球凝集素(HAin, HA抗原)を持っているウイルスにしか応用できない.また,使用する血球はウイルスごとに限られており,更にヒト血清中には赤血球凝集を阻止する物質,すなわちインヒビターがあって,しかもこのインヒビターを除く方法がウイルスごとに異なっているので,多極類のウイルス検査を同時に行う時には非常に煩雑になってしまう.一方,CFは反応が2日にわたりやや面倒な点もあるし,CFにはCFなりの欠点もあるが,ほとんどすべてのウイルスについて検査することが可能で,しかも何種類のウイルスの検査でも抗原を変える以外はすべて同じ操作で実施できるので,病院での検査に一番使いやすい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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