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MODYの遺伝子検査
著者: 堀越桃子1 原一雄1 岡田光正1 門脇孝1
所属機関: 1東京大学医学部糖尿病・代謝内科
ページ範囲:P.87 - P.88
文献購入ページに移動発症年齢が25歳以下と若年で,3世代にわたり糖尿病の家族歴をもち常染色体優性遺伝であるとして矛盾しない糖尿病多発家系があり,TattersallとFajansは1974年に糖尿病の1つのサブタイプとしてMODY(maturity-onset type diabetes of the young)と命名することを提唱した.その後連鎖解析という手法によってMODYの家系を調べたところ,第20番染色体上のある部分にMODYの原因遺伝子が存在することが分かり,MODY1と命名された.別のMODY家系の解析により今度は第12番染色体上の部分に別の原因遺伝子があることが分かりMODY3と命名され,その部分に存在する遺伝子をMODYの患者で調べたところ,HNF-1αという膵β細胞で働いている遺伝子の異常が見つかり,MODY3の本体がHNF-1αであることが判明した.HNF-4αというHNF-1αの仲間の遺伝子がHNF-1α遺伝子のスイッチを入れる役割をしていることと,HNF-4αがMODY-1の染色体領域に存在することから,MODY-1の本体がHNF-4α遺伝子であることが推測され,実際にHNF-4α遺伝子の異常が発見された.その後MODYの原因遺伝子が次々と発見され,現在ではグルコキナーゼ(glucokinase;GK),HNF-1β,IPF1/PDX1の遺伝子異常によるMODYも報告されている.
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