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文献詳細

雑誌文献

検査と技術30巻10号

2002年09月発行

文献概要

増刊号 誰でもわかる遺伝子検査 Ⅰ.総論—遺伝子検査の基礎,基本

1.遺伝子とは何か

著者: 福地邦彦1

所属機関: 1昭和大学医学部臨床病理学

ページ範囲:P.893 - P.897

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ゲノムと遺伝子
 地球上の生物は,動物,植物,カビ,細菌などすべて,姿や生きかたが遺伝子によって決定されている.そしてすべての生物の遺伝子は,アデニン(A),グアニン(G),シトシン(C),チミン(T)の4種類のヌクレオチドの繰り返し構造ででき上がっている(図1).ヒトでは遺伝子を構成するDNAの塩基対は32億対ある.1953年のワトソン,クリックによるDNAの構造の解明以来,50年余にわたる分子生物学の研究により,ゲノムに組み込まれている遺伝情報の発現機構が1つ1つ明らかになってきたが,生命の全体像はATGCの配列すべてを解読することによってのみ明らかになる.2000年に高等植物のシロイヌナズナゲノムの完全解読に続き,2001年に高等動物の代表であるヒトのゲノムのドラフトシークエンスが報告された1,2).これが直ちに,ヒトの設計図の解明とはならないが,いくつものヒトゲノムの特性が示された.発現する蛋白質は,ヒトでは35,000〜40,000個と予測され,酵母の6,000個,ショウジョウバエ13,000個,線虫18,000個,植物の26,000個と大きく変わるわけではないが,複雑に選択的スプライシングを行ってさらに多くの蛋白質を産生しているようである.減数分裂時の変異率は男性のほうが女性の約2倍ほど高いので,ほとんどの突然変異は男性側で起こっていることも興味深い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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