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コラム
脆弱X症候群
著者: 大島利夫1
所属機関: 1東海大学医学部附属病院臨床検査科
ページ範囲:P.897 - P.897
文献購入ページに移動 脆弱X症候群は,X染色体の長腕q27.3に存在する葉酸感受性脆弱部位と密接に関係している性染色体異常である.先天性の精神遅滞症のうちでダウン(Down)症候群についで頻度の高いX連鎖の遺伝性疾患である.臨床症状として,細長顔,前頭部と下顎の突出,大耳介,巨大睾丸などの身体症状と精神遅滞とを呈する.脆弱X染色体の診断は,患者末梢血リンパ球を葉酸欠乏培地によりチミン飢餓の条件下で培養すると,X染色体の長腕q27.3の部位にギャップが検出される.患者の大部分は男性であるが,女性の保因者でも約3割は軽度の精神遅滞が認められる.1991年にXq27.3にあるFMR1(fragile X mental retar dation-1)遺伝子が単離された.その近傍領域にある単純反復配列(CCG)nの増幅変異によりFMR1遺伝子の発現が抑制されることが本疾患の原因であると考えられている.
脆弱X部位の発現頻度は患者によって異なるため,染色体検査のみによって確定診断を行うことは困難である.一方,DNA診断では,FMR1遺伝子の上流にある(CCG)nの異常伸長とそれに伴うCpG島のメチル化によるFMR1遺伝子の転写阻害によるものであるため確実な診断が可能である.
脆弱X部位の発現頻度は患者によって異なるため,染色体検査のみによって確定診断を行うことは困難である.一方,DNA診断では,FMR1遺伝子の上流にある(CCG)nの異常伸長とそれに伴うCpG島のメチル化によるFMR1遺伝子の転写阻害によるものであるため確実な診断が可能である.
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