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コラム
inv(16)
著者: 権藤和美1
所属機関: 1東海大学医学部附属病院臨床検査科
ページ範囲:P.1065 - P.1065
文献購入ページに移動 inv(16)は好酸球増多を伴う急性骨髄単球性白血病(M 4Eo)に特異的にみられる染色体異常で,M 4Eoの約75%に検出される.この染色体異常を有する症例の特徴は,①強力な化学療法に反応し予後良好である,②骨髄において粗大な好塩基性顆粒を有し異常な形態を示す特異な好酸球増加が認められる,③再発時に中枢神経系浸潤,特に頭蓋内腫瘍を伴いやすいなどが挙げられる.inv(16)(p13q22)は16番染色体の短腕のp13と長腕のq22がともに切断され,その間で染色体の逆位を生じたものである.16番染色体逆位inv(16)(p13q22)の結果,16p13上の平滑筋ミオシン重鎖(smooth muscle myosin heavy chain)遺伝子MYH11遺伝子と16q22上のCBF(core-binding factor)β遺伝子が融合遺伝子を形成する.この融合遺伝子からCBFB(CBFβ)-MYH11キメラmRNAが転写される.CBFBはCBFA(CBFα)とヘテロダイマーを形成し,CBFAのDNA結合能を高め,転写因子としての機能を発揮する.CBFBはミエロペルオキシダーゼと好中球エラスターゼの2つの骨髄系細胞に特異的な遺伝子発現を調節する.
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