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増刊号 誰でもわかる遺伝子検査 Ⅱ.各論—遺伝子検査はどういうときに必要なのか 3.応用編—遺伝子検査を利用する 2)悪性腫瘍
(5)肺癌
著者: 高橋和久1 平間未知大1 島貫由理1 福地義之助1
所属機関: 1順天堂大学医学部呼吸器内科
ページ範囲:P.1084 - P.1087
文献購入ページに移動日本における肺癌の羅患率と死亡率は最近著増傾向にあり,1993年には男性の癌死の第一位になり,1998年では男女合計でも年間死亡数が5万1千人と死亡要因第一位の癌種となった1).肺癌の死亡率が高い原因として以下の要因が考えられる.①初診時に手術可能な症例が約4割と早期発見が困難,②手術例でも早期に再発する症例がある,③手術不能例に対しては抗癌剤の投与が行われるが,現在使用可能な薬剤では単剤,併用ともに数か月の延命は可能であっても根治は困難であること.またその効果,および副作用の発現も個々の症例によって一定しない.一方,最近の癌の基礎研究の進歩は目覚ましいものがあり,肺癌は複数の遺伝子が経時的,多段階的に異常(活性化,不活性化,発現異常など)を来し,発症する遺伝子病であることが明らかになった.しかしながら日常臨床上,遺伝子異常の検出が診断と治療へ影響を与えるまでには至っていない.一般的に肺癌遺伝子診断の臨床応用には,①発癌の感受性診断,②微小癌検出による早期診断,正確な臨床病期診断,③抗癌剤の感受性,耐性診断,副作用予測,④予後の予測などが挙げられる(表).
本稿では,肺癌の遺伝子診断の現状と今後の方向性,展望について概説する.
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