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文献詳細

雑誌文献

検査と技術30巻10号

2002年09月発行

文献概要

増刊号 誰でもわかる遺伝子検査 Ⅱ.各論—遺伝子検査はどういうときに必要なのか 3.応用編—遺伝子検査を利用する 3)遺伝性疾患

(6)ヘモグロビン異常症

著者: 服部幸夫1

所属機関: 1山口大学医学部保健学科病態検査学

ページ範囲:P.1117 - P.1121

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血色素異常症の遺伝子診断
 血色素(Hb)異常症は赤血球膜異常,赤血球酵素異常と並んで,先天性溶血性貧血の一部をなしている1).異常Hb症ならびにサラセミアがこれに入る.Hbはα,非αグロビン各2分子ずつから成る四量体で,赤血球内に限局し,体内での酸素運搬の機能を担っている.αグロビン遺伝子は第16染色体短腕末端(16p13.33)に5'-ζ-α21の順に並び,非αグロビン遺伝子群は第11染色体短腕(11p15.5)に5'-ε-Gγ-Aγ-δ-β-の順に配列している(図1).発生に伴い原則として5'側から順に発現する.つまり,ζ,εは胎芽期,2個のγグロビン遺伝子Gγ,Aγは胎生期,δ,βは主に生下後に発現される.その結果,出生を境に胎生のHbF(α2γ2)の産生は低下し,HbA(α2β2)がそれに代わる,いわゆるスイッチングが行われる.成人ではHbAが96%,HbA2(α2δ2)が2.5〜3.5%,そしてHbFが1%以下を占める.したがって,成人のHb異常症は主に,HbAを形成するα,βグロビンの異常を意味する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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