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文献詳細

雑誌文献

検査と技術30巻10号

2002年09月発行

文献概要

コラム

ヘテロ接合性消失

著者: 宮地勇人1

所属機関: 1東海大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.1176 - P.1176

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病態と意義
 癌において,癌遺伝子や癌抑制遺伝子の変異の検索は,発癌や脱制御された異常増殖の分子機構を知る一助となり,癌の生物学的悪性度,治療反応性の指標となる.正常細胞では癌抑制遺伝子がヘテロ接合体を形成することで癌化は抑制されており,主に欠失により癌抑制遺伝子のヘテロ接合性が消失(loss of heterozygosity;LOH)することが癌化に重要な働きをすると考えられている.ヘテロ接合性の喪失は,染色体の欠損または遺伝子欠失などのDNA変異により生じる.一例として,17番染色体短腕(17p)上に存在するP53の異常はヒトのあらゆる組織の癌で高頻度に検出され,17pあるいはP53のLOHが乳癌,肺癌,大腸癌,脳腫瘍,食道癌,骨肉腫,悪性黒色腫,肝癌,前立腺癌などでみられる(図).P53遺伝子の点変異または欠失が両アレルに発生したとき,細胞の増殖抑制が効かなくなることが癌化に重要と考えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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