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結核症の診断における抗TBGL(tuberculous glycolipids)抗体測定の意義—結核の血清診断法の現状と問題点
著者: 高倉俊二1 千田一嘉1 一山智1
所属機関: 1京都大学医学研究科臨床病態検査学
ページ範囲:P.1265 - P.1268
文献購入ページに移動結核症の診断は結核菌を臨床検体から検出することで確定する.検体の種類にかかわらずたとえ1コロニーでも結核菌が検出されれば結核症といえる.PCR(polymerase chain reaction,ポリメラーゼ連鎖反応)法は培養検査に比較すると感度が若干劣るが,その迅速性と特異性から,陽性の場合は特殊なケースを除いて結核の診断を早期に確定できる.ただし,実際に結核症と診断された患者で結核菌が証明されているのは全体の45%前後であり,多くは胸部X線所見,臨床所見などで診断されているのみである1).結核発病患者を確実かつ早期に診断するために,臨床検体から結核菌が認められない患者においても指標となりうる検査が望まれている.結核菌検出に依存しない診断法としては結核菌に対する細胞性免疫反応を指標とするツベルクリン皮内反応(ツ反)がある.ツ反陰性であれば結核症はほぼ否定的といえるが,陽性の場合はどちらともいえない.結核に感染していれば発病していなくても陽性となるし,BCG(bacillus CalmetteGuérin)ワクチン接種による陽性と結核感染による陽性を判別できないためである.ツ反の判定に関する注意点を表1に示す.
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